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届かない声。

勤めている専門学校の卒業式が無事に終わりました。

仕事中にふっと浮かんでくる淋しい気持ちは静かに仕舞って、

卒業生達のこれからの活躍を願っています。

今日は3月11日、東日本大震災から3年が経ちました。

亡くなられた多くの方々に、謹んで哀悼の意を表します。

3年が経った今でも、26万人以上の避難者がいて、

10万人近い方々が仮設住宅で不自由な暮らしを強いられています。

「仮設」というくらいだから、やはり2年程度が建物の限界のようで、

雨漏り等で日々の生活は益々不自由になってきているようです。

昨年の9月に、2020年東京オリンピックが決まりましたね。

今日まで黙っていましたが、少しだけ。

招致プレゼンテーションの時、この国の首相は

「(原発について)状況は完全にコントロールされている」と言いました。

目前の山積する様々な問題を全て「そんなものは日本には存在しない」と

全世界の前ではっきりと言い切りました。

また、日本が開催地に決まり、後の会見で前東京都知事は

「これで希望を作れるのだ」と言いました。

招致委員会理事長は「東京は福島と250キロ離れているから安全だ」と。

復興どころか復旧さえ覚束ない被災地の現状を切り捨て、

失われた希望を元に戻さずに新しい希望を作ると、彼らは言ったのです。

招致における日本のメインスローガンは

『今、ニッポンにはこの夢が必要だ』

違う。

必要だったのはオリンピックなどという一部の人間の為の夢ではなく、

地震や津波で多くを失った人々はもちろん、不安な今を生きる誰もが

これからの夢を自由に描くことの出来る「信用に足る国」そのもの。

オリンピックが全て悪いと言う訳ではないのでしょう、

全く興味はありませんが、その経済効果は大きなものらしいですから。

けれど物事には順番というものがある。

今回のオリンピック開催決定は、その順番を完全に誤っています。

オリンピック「招致」に使われた予算、37億円。

オリンピック「開催」に必要な予算、7340億円。

海外のプレゼンテーション会場で開催地が東京と発表された瞬間に、

泣きながら馬鹿みたいにガッツポーズをしていたスポーツ選手。

そこが仮設住宅の前でも、彼は同じパフォーマンスが出来たのでしょうか。


オリンピックと震災や原発の問題とを絡めて発言することに、

「みんなが盛り上がっている時にどうして水をさすのか」といった空気が、

開催が近づく毎に強く立ちこめてくるような気がします。

同時にあの『今、ニッポンにはこの夢が必要だ』というスローガンが、

まるで疑いようのない正義であるかのように、功名に、声高に動き始める。

経済と夢と希望が巨大なスピーカーで連呼された時、

悲痛で切実な声は届かなくなってしまう。

その声だけが、絶えず闇を照らす小さな月明りのように、
今この国に本当に必要なものを指し示しているというのに。


シンプルホープ・金谷直樹
 

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